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4.『BATTLESTAR GALACTICA』
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●『BATTLESTAR GALACTICA』とは…… 「サイロン」は12惑星連合での生活を快適にするために創られた機械生命体だった。時は流れ、サイロンは「創造主」を抹殺するために反乱を開始した。長く、血みどろの戦闘の末に休戦条約が締結され、サイロンは彼ら自身が求める別世界へと旅立っていったのだ。 それから40年、奴らは人類を絶滅させるために戻ってきた 防衛プログラムにウィルスを侵入させることに成功したサイロンは、ネットワーク化されたコロニアル艦隊を無力化し、人類を破滅の縁に追い込んだ。 しかし、人類にはまだ希望の光が。 サイロンの全面攻撃を受けたその日、コロニアル艦隊から退役を迎えた旧型艦バトルスター(宇宙空母)〈ギャラクティカ〉は、幸運にもサイロンのネットワークウィルスの影響を受けない状況にあった。難を逃れたギャラクティカは生き残った人類の船団を引き連れ、伝説の惑星「地球」に新天地を求めて旅立った。 人類に残されたわずかな希望は、容赦のないサイロンの攻撃から逃れ、地球を見つけること。しかし残された物資は底を尽き、敵は人間そっくりの外見で、既に艦隊内部へと侵入していることが明らかになったのだった……。 人類は果たして生き残ることができ、伝説の惑星「地球」へ到達することが出来るのだろうか?
●人類は生き残ることが出来るのか!? 海外のテレビドラマをボードゲーム化したのが、この『BATTLESTAR GALACTICA』という作品。 このゲーム、ホントにヤバイです。 某ボードゲームサイトで10点満点中一時期8点台を一定期間叩き出していたのですが、これは本当に面白いゲーム。いや、絶賛されているのは確かですね。 個人的な感想なのですが、そうですね……FFP社の『LASTNIGHT on EARTH』を初めてプレイした時と同じ衝撃だったと思います。 この2つのゲームに共通していることは、ボードゲームなのによっぽどTRPGっぽいドラマチックな展開が楽しめるということ。ストーリーを知らなくとも感情移入しやすくゲームは作られており、ボードゲーム特有のプレイヤー同士の駆け引きが要求される点は、どのボードゲームよりも優れた作品に仕上がっていると思います。 『BATTLESTAR GALACTICA』ですが、プレイヤー全員はギャラクティカ号のクルーとなり、様々なサイロンの妨害をクリアしながら伝説の惑星「地球」をめざします。ゲームの勝利条件は、プレイヤー全員に適用されるので、協力して目的を目指すタイプのゲームと理解すればわかりやすいでしょう。ゲームは8ジャンプ単位成功した後もう一度ジャンプに成功したら勝利を納めるのですが、それを阻止するプレイヤーが現れます。 プレイヤーの中には「サイロン」という人類に敵対する機械生命体が加わっています。 そう、味方の中に必ず「裏切り者」がいるのです。 誰が味方で誰が敵か解らない状況で、「サイロン」プレイヤーは人類の勝利条件に対して妨害を施します。なので、人類側の目的が達成できない場合、「サイロン」プレイヤーが勝利を納めると言うのがこのゲームのミソと言えるでしょう。 ところで、味方の中に敵がいるっていっても、 「妨害し続けていたら、はっきりと敵が誰だか早くに解っちまうやんか。そんなゲームで本当に面白いの!?」 なんて言われそうですが、このゲーム、その点ちゃんと処理している訳で。 毎ターン、プレイヤーたちが協力して「危機」を脱しなくてはいけない場面がちゃんと準備されていて、その場面で誰が妨害したか解らないように秘密裏に邪魔をし、さらにその妨害を巧く人になすりつけることさえ出来るのです。 ●裏切り者は誰だ!? 毎ターン、ギャラクティカでは、これでもか!と言わんばかりの困難な危機が立ちはだかります。プレイヤーは手番フェイズの最後に1枚の『危機カード』を引きオープンすることで危機を発生することに。参加しているプレイヤー毎にカードが引かれるので、ひっきりなしに災厄が降りかかってくるわけですね。 この危機カードの内容、サイロンからのギャラクティカや輸送船団に対する直接攻撃だけでなく、政治的判断が要求されるイベント的な危機も含まれています。「危機カード」の内容は、テレビドラマで登場したエピソードを基軸に作られていますから『貯水タンク破壊』のエピソードなんかもカードに再現されています。作品を知っている人ならばニヤリとするイベントも沢山含まれているのです。 イベントには難度が数字で示されており、そのイベントをクリアしなければペナルティを貸せられるのです。で、このイベントをプレイヤー全員で解決しようと試みるのですが、キャラクターによってはそのイベントをクリアするのに得手不得手が出てきます。 各プレイヤーは自分の手番で固有の能力に応じて『スキルカード』を数枚獲得します。そのスキルは種別によって区分け(色分けされているので視覚的にもわかりやすくなっています)されており、そのスキルに応じたアクションとして自分の手番にカード内容を実行できます。このカード、アクションを実行するだけでなく「クライシス・フェイズ」に出すこともできるのです。その際はカードの左上に記載された1~5まで振られた数値を利用します。これは『危機カード』のイベントクリアの際に必要になる数字として利用できるのです。 「クライシス・フェイズに」出される『危機カード』は、各カードに記載されている難度を越えるようにプレイヤー全員がスキルカードの数字を合計で投入すればイベントはクリア。システム的にはとても簡単ですよね……。ただし、出されるスキルカードは裏向けて提出するので誰が出したのかはわかりません。さらに、イベントには必要とされるスキルの種別が指示されているので、指示された以外の種別カードが出されると合計数値にマイナスされてしまいます。また、誰かがあからさまに妨害したことを悟られないように、『運命デッキ』というカード山が準備されており、ランダムに2枚プレイヤーが出したカードに加えられるので、作為的に妨害されたのか、ランダムに妨害されたのかが解りにくくなるのです。 もちろん、危機カードに対して対応していないスキルカードを出してしまうとマイナス効果があるので、はじめからカードを出さないという選択しもあるのですが、そうすると、「もしかして、カード出さないのは失敗を心では願っているのではないか?」と互いのプレイヤー同士で疑心暗鬼に陥ることだってあり得るのです。 誰がサイロンなのか? お互いに対して警戒心を持ちながらゲームを進めていかなければならばいジレンマ。このバランスが『BATTLESTAR GALACTICA』の面白さにアクセントを与えているのです。 ●おまえがサイロンなのか!? 「クライシス・フェイズ」で正体がばれてしまうとゲームが終了するのか……というとそうではありません。しらを切り通すもよし、自ら正体を明かしてもよしなのです。 または、正体がばれていても全く問題なく目的を達成することだってできるのです。その妨害をサイロン側プレイヤーは行えばよいわけですが、条件はいくつかの方法が残されています。 1)リソース(食料・燃料・モラル・人口)をゼロにする プレイヤーの中には必ず1人以上のサイロンが含まれているのですが、ゲーム開始時に「忠誠カード」を配りそれによってサイロンかサイロンでないかを決定します。 「忠誠カード」はゲーム開始時に参加プレイヤーの倍の数が準備されるのです。さらに、ゲームが進行するともう一度「忠誠カード」が配られるのです。ということは、ゲーム開始時に運が良ければ、誰もサイロンでない可能性もある訳です。 そんな状況で「危機」に対してクリアーできない状況が発生すると、お互いのプレイヤー同士を疑い出すことになります。さらにゲームが進むと今まで疑いをもたれていたプレイヤーがサイロンではなく、実は別の人物がサイロンであって、意図的に濡れ衣を被せることだって出来るようになりるのです。 ルールブックにも明記されているように『BATTLESTAR GALACTICA』の面白さは、サイロン側プレイヤーが紛れていることで生じる疑心暗鬼と緊張です。自分のキャラクターの立場をロールプレイしながら人類側であろうともサイロン側であろうとも目的に対して全力を尽くすことがゲームをさらに盛り上げることになります。 楽しいのは、人類を騙しながらタイミングを見計らってダメージを与えていくサイロンプレイヤーでしょうが、バレないようにゲームに緊張を与えたりコントロールせねばならないのは難しいかもしれませんがね。ちなみに、サイロンだとバレてしまったり、自分で正体を明かすことももちろん出来ます。その場合はサイロンとして全面的に人類に「宣戦布告」することになるでしょうし、対決をしなければならなくなるのですが。 ●個性豊かなキャラクターたち このゲーム、3人から6人まで遊ぶことが出来るゲームなのですが、ゲーム中に準備されているキャラクターは10人。『BATTLE STAR GALACTICA』のテレビドラマをご覧の方にはお馴染みの人が登場しています。 キャラクターは大きく分けて3つのタイプに分かれています。ゲームに勝利を収めるためには3タイプがバランス良く入っている方が勝利へのハードルは低くなるのです。これはキャラクターのタイプによって得意とする分野のスキルがバラバラで、どんなトラブルにも対処できるように布石を打つというためにも心がけなくてはいけないことでしょう。 その登場するタイプとは「軍事的リーダー」「政治的リーダー」「パイロット」の3タイプ。1人だけ「サポート」というタイプもありますが、これは特殊なものと理解してください。 ギャラクティカに襲いかかる危機はサイロンの直接攻撃(空戦でパイロットが中心に対処)だけでなく、イベントによる軍事的な判断を必要とする危機(軍事的リーダーが中心に対処)や政治的な判断を必要とする危機(政治的リーダーが中心に対処)まであります。 各々の「危機」をクリアするために必要とされるスキルはまちまちで、政治的な判断を必要とされる「政治スキル」に関わる「危機」に対して技能を持たないキャラクターは判定時にスキルカードを出すことは出来ないでしょう(出せばマイナスの判定になるので、妨害したことになります。もちろん、サイロンならばやってもいいですが……すぐにバレちゃいますよね)。 このように完全分業制でキャラクターの役割がタイプによって決まっているからこそ、「危機」を回避しそこねたときに「もしや、お前はサイロンじゃないのか!?」という疑心暗鬼が生まれてくるのです。 キャラクターによってタイプが分かれていること以外に、その人物の特徴を現す特殊能力もゲームにアクセントを与えます。例えば、唯一の科学者バルター博士の場合、「サイロン探知機」をゲーム中に1回のみ使用することができ、他のプレイヤーの「忠誠カード」(サイロンか、サイロンでないかを決定するカード)を密かに見ることが出来ます。政治犯としてギャラクティカに収容されている革命家のザレクは、「慈悲なき決断」として人口リソースを1減少させることで、他のリソース全てを1増やすことができるなど、テレビドラマのキャラクターを彷彿とさせる特殊能力が設定されているのです。 最後に、このゲームをプレイする上でオススメのキャラクタータイプを紹介しておきましょう。 色々な「危機」に対して自分から積極的に関わることが出来るのは「パイロット」がオススメです。サイロンの直接攻撃に対してスクランブルで対処しなくてはいけないだけでなく、軍事的な判断に際してもキャラクターによってはスキルを使うことが出来ます。行えるアクションも豊富なので初心者にも勧められるタイプだと思われます。補助的な役割を果たしながらも重要な決断を迫られるタイプは「政治的リーダー」です。特に「大統領」に就任すると、全人類の命運を背負うことになりますし、仮にサイロンだった場合ゲームの勝敗を左右するキャスティングボードを握ることになるからです。面白いタイプのキャラクターではありますが、アナログゲーム馴れしている人にオススメします。「軍事的リーダー」も重職でギャラクティカ号の命運を握ることになります。さらに民間船をどう守り抜くか軍事的な判断だけでなく政治的なバランスも考慮に入れなくてはいけないだけに、かなり制限を与えられる人物です。「提督」になれば進航路の判断も任せられるので、サイロンだった場合他のプレイヤーを密かに翻弄させることもできる面白い役かもしれませんね。 *** 『BATTLESTAR GALACTICA』の魅力を少しはお伝えすることができたでしょうか? まだまだ全てを伝えることができていないとは思いますが、いずれゲームのリプレイをこちらで紹介したいと思っております。 テレビドラマ同様、手に汗握る展開がゲーム中沢山発生するでしょうし、それまで今しばらく自分たちの『BATTLE STAR GALACTICA』をお楽しみくださいね。 |
- 2011.06.07
- 17:38
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