Wolfpack(ジェームズ・ダニガン)
灰色の波間に潜む鋼鉄の群れ──
『Wolfpack』は、第二次世界大戦中の大西洋を舞台に、ドイツ海軍Uボート部隊と連合軍の護送船団との死闘を描いたソリティア・ウォーゲームです。
あなたはドイツ海軍Uボート司令官
プレイヤーは、カール・デーニッツに代わり、Uボート部隊を率いる海軍総司令官として、限られた戦力を広大な海域に展開。情報の乏しい中で連合国護送船団の進路を読み、攻撃と回避を繰り返しながら戦果を上げていきます。目指すのは、敵の戦略物資を可能な限り沈め、かつ味方の損害を最小限に抑えること。指揮官としての胆力と洞察力が問われる一戦一戦が、あなたを待ち受けています。
ランダム性と緻密な戦略のせめぎ合い
『Wolfpack』は、偶然と戦術の交錯をテーマにしたゲームです。船団の動きや天候、航空機の索敵などは無作為に決定され、毎ターンが緊張の連続。Uボートの「分散と集中」を使い分け、いかに効率的に索敵・攻撃を行うかが勝敗を左右します。敵を発見できず徒労に終わることもあれば、思わぬ地点で大戦果を挙げることも。まさに「干し草の中から針を探す」ような索敵のスリルが、あなたを引き込みます。
転換期を象徴する4つのシナリオ
本作には、1943年2月から5月までの4つのシナリオが用意されています。これはUボート戦が攻勢から劣勢へと転じる転換点を切り取ったもので、連合軍の航空哨戒・護衛艦強化による制海権の逆転劇が、ゲームを通して実感できます。それぞれのシナリオで展開される状況は異なり、毎回異なる戦略が求められるため、繰り返しのプレイでも飽きることがありません。
歴史と仮想が交差する「もしも」の選択ルール
「もしUボートが早期にシュノーケルを装備していたら?」というIF設定も搭載。歴史的な制約を超えた仮想戦に挑戦することも可能です。現実と虚構の境界を自らの手で描き変える──それが本作のもう一つの魅力です。
ソリティアながら、重厚なマクロ戦略体験
近年の潜水艦ゲームが艦長レベルの戦術操作に焦点を当てる中、本作は「海軍司令官」という視点で作戦全体を見渡す設計となっています。戦術よりも戦略を重視し、部隊配備・リスク管理・ターゲット選定といった「指揮官の思考」がそのまま勝敗へと結びつく構造は、まさに作戦級シミュレーションの真骨頂です。
日本版制作にあたって
本作は1974年にSPIより発売された同名作品の日本語版です。日本語化にあたっては、グラフィック面の刷新はもちろんのこと、マップ上のチャートの配置を使用頻度に合わせて再配置&参照情報の追加などを行い、またルール面でも明確などを行い、任意に使用できるマーカーを追加しました。また、ゲームシステムについての理解を助ける「プレイの手引」を収録。具体的なゲームの進行例に沿ってルールのもつ意味や注意点を補足していますので、手引に従いながらコマを動かしてみるとスムーズにプレイに入れるでしょう。
緻密な作戦計画の末、敵船団の航路を読み切ったときの達成感──
『Wolfpack』は、ソリティアでありながら極めて骨太な戦略体験を提供します。
灰色の海に己の知略を刻みたい全ての指揮官たちへ──今こそ、群狼(ウルフパック)を出撃させよ!
■内容物(ジップ入り)
●ルールブック1冊(フルカラー)
●マップ1枚(A1判)
●駒シート1枚(13mm角)
プレイヤー数:1人(ソリティア専用)
プレイ時間: 180分程度