第三次中東戦争はイスラエルの圧勝で幕を閉じた。第一次、第二次に続き、三度目の戦でも辛酸を舐めさせられたエジプトとシリアは、ソ連から支援を受けることで軍の再建に着手。さらに、敵を欺くべく情報管理も徹底した。イスラエル側もエジプトとシリアが戦争の準備を進めていることは把握していたものの、ほとんど注意を払わなかった。
そして1973年10月6日、ユダヤ教にとって最も神聖な日である「ヨム・キプール」の日に、エジプトとシリアは作戦を開始。エジプト軍はシナイ半島防衛の要衝、通称バーレブ・ラインへ、シリア軍はゴラン高原へと攻め入った。第四次中東戦争が始まったのである。
付録ゲーム『ゴラン』
ゲームデザイン:Irad B. Hardy
『ゴラン』は、1973年10月9日より発生したシリア軍によるイスラエル侵攻、いわゆる「第四次中東戦争」における「ゴラン高原」での戦いを題材にした対戦型のウォー・シミュレーションゲームです。
本作は1975年にSPIから発売された現代戦を扱うゲームが4 in 1(クワドリ)で収録されていた『Modern Battles』の作品のひとつで、現代作戦級シミュレーションゲームのシリーズです。
本作は遊びやすさを重視したデザインとなっており、ルールブックは『Modern Battles』の他作品でも使える「共通ルール」と本作にのみ適用される「選択ルール」に分かれている他、ユニット数が100個に満たない数の比較的コンパクトな作品ですが、大激戦となったゴランでの戦闘を十全にシミュレートできるようになっています。システムはコマンドマガジン177号の付録となった『Wurzburg』と同じでマスト・アタックをベースにしたオーソドックスなシステムで、初心者のみならずベテランウォーゲーマーでも楽しめるでしょう。
本誌で第四次中東戦争にまつわる歴史記事、本作のリプレイ記事のほか、新作ゲームの紹介記事などを掲載しています。
内容物
●駒120個1枚(15mm角)
●マップ1枚(A1判1枚)
●チャート類(A4判1枚)
●ルールブック1冊
ルール難度:普通
ソリテア性:普通
ゲーム・スケール
●地図上の距離(1ヘクス)=約1.6km
●1ユニット=旅団/連隊
●プレイヤー数=2人
●プレイ時間=120分程度