コマンドマガジン75号

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今、問い直せSSシリーズ

『モスクワ攻防戦』は、かつて翔企画の〈SSシリーズ〉から出版された同名作品の再版。傑作『ロンメルアフリカ軍団』とともに、SSシリーズの方向性を決定づけた印象的なゲームだった。バルバロッサ開始から冬季反攻を乗り越え、42年夏までを視野に入れた、ドイツ枢軸軍対ソビエト軍、東部戦線の戦いのキャンペーンゲームである。質のドイツ軍と量のソ連軍という、独ソ戦の本質をしっかりと抑えつつ、史実ではどれも達成できなかった3大主要目標〈モスクワ〉〈レニングラード〉〈スターリングラード〉へのアプローチを両軍に問う、実に教育的なゲームである。デザイナーは本誌編集長・中黒靖。

『東海遊侠伝〜次郎長三国志〜』は、幕末の博徒、駿州(静岡県)の“清水一家”の親分「清水の次郎長」と甲州(山梨県)の“黒駒一家”の親分「黒駒の勝蔵」間に争われた一連の喧嘩を題材としたシミュレーションゲームである。東は上州(群馬県)から西は勢州(三重県)までの、中山道以南を13のエリアに分け、当時、東海筋を舞台に歴史に残る縄張り争いを演じた、博徒達の青春をなぞらえるピカレスク・ロマン。システムは別冊『将門記』や、本誌69号の『真本信長公記』、ダブルチャージ誌第4号『三十年戦史』でもおなじみの〈太平記システム〉を採用。ヤクザの親分とその三ン下という少人数戦闘を再現するため、率いられる兵隊の数が小さくなっている。そう。喧嘩をすると死にやすい。だから、シミュレーションゲームではありがちの「やるか、やられるか」以外に、喧嘩の仲裁などによって男を上げてゆく方法によっても、勝利を追求できるのだ。これまでにない視点から、幕末を切り取った中嶋真氏の意欲作。ぜひ堪能して欲しい。また、マップの裏面には、ゲームの生き残った博徒それぞれの明治をたどる、『明治残侠伝双六』を収録している。森の石松が生きていたらどうなったのだろう? こんなフラッシュムービーで気分を盛り上げるのもあり。

『Across the Dnepr.Kiev〜Zhitomir '43 』は、1943年のドニエプル河渡河を巡る独ソの死闘を再現した作戦級ゲームである。クルスク戦でのドイツ軍攻勢が失敗して以降、ソ連軍は国土を次々と奪回し、ドニエプル河に橋頭堡を築くのに成功する。そして11月、ソ連軍はウクライナの首都キエフを次の攻略目標とした。キエフを奪回したソ連軍は、さらに西進するが、ジトミル近郊においてドイツ装甲部隊の反撃を受け、ソ連の戦車部隊は大打撃を被った。『Across the Dnepr』は、キエフ奪回から始まる一連の戦いを、師団、軍団規模でシミュレートする作戦級ゲームである。シークエンスは移動と戦闘を交互に繰り返すシンプルな構成だが、戦車戦術、対戦者戦術とも完成を見た時期のゲームにふさわしく、戦車効果というファクターを交えて、この兵器の重要性を際だたせている。デザイナー・木全孝幸。

『モスクワ電撃戦』

  • マップ/A2(ハーフサイズ)1枚
  • カウンターシート/176個(12.5mm)1枚
    (うち約112個使用)
  • ルールブック/8ページ

『東海遊侠伝〜次郎長三国志〜』

  • マップ/A2(ハーフサイズ)1枚
  • カウンター(72個使用 25mm)
  • ルールブック/16ページ

『Across the Dnepr』

  • マップ/A3(クォーターサイズ)1枚
  • カウンター/62個使用
  • ルールブック/8ページ

《特集:「今、問い直せSSシリーズ」》

かつて新規参入者獲得を目指して立ち上げられた翔企画のSSシリーズについて特集する。結果として、新規参入者の獲得には結びつかなかったSSシリーズだが、今日の日本におけるゲーム出版シーンのゆりかごになったという側面も併せ持っている。そうした、SSシリーズの来し方と行く末を、鈴木銀一郎氏も交え、改めて考えなおす。

付録ゲームについても徹底特集。異色作『東海遊侠伝』について、日本中世ゲームデザインの第一人者、中嶋真氏が、幕末博徒歴史概況と、このテーマがなぜシミュレーションゲームに向くのかという事を徹底的に解説します。また、なじみのない博徒の横顔を、ユニット化された人物についてそれぞれ紹介。これを読めば新撰組人気に追いやられた、もう一つの幕末氏の立役者、「博徒」について興味を持つこと間違い無しです。

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コマンドマガジン日本語版について

コマンドマガジン日本語版は、毎号特集に沿った付録ゲームが付くシミュレーションゲーム専門誌です。シミュレーションゲームとは、歴史上の戦争について様々な角度から再現、検証することを目的としたゲームで、ウォーゲームとも言います。戦いに参加した部隊を表す紙のコマ(ユニット)と戦場を描写した紙製の地図(マップ)、そしてゲームの遊び方を説明したルールブックで構成されています。